見積作成・提出のポイント
見積書まで来たらいよいよ大詰めです。見積書に記載される金額はお客様にとって自らの財布の紐をほどいて支払う金額になります。どんなに提案がうまく行っても、この見積がお客様の意に添ったものでなければその商談はあっけなく幕を閉じてしまうのです。ソリューション営業.Netでは、見積書作成のためのテンプレートではなく、受注するために必要な見積書提出のポイントをご紹介します。
お金の話をするタイミング
そもそも1商談において、お金の話をするタイミングとはどこになるのでしょうか? 初回でお会いした際?2回目の訪問時?提案書提出と同時?最後まで言わない?結論から 言えば、これらはどれも正解です。なぜなら、お金の話をするタイミングは、御社の製品の価格とお客様の懐具合の掛け合わせで決まるからです。まとめると下記のような形にな ります。
1. 製品・サービス価格 >> お客様企業の懐
→ 初回に伝え折り合いが付かないようなら速やかに撤退する。
2. 製品・サービス価格 > お客様企業の懐
→ 初期に伝え予算枠拡大の条件を確認。それに応じることができるようであれば進める。
3. 製品・サービス価格 ≒ お客様企業の懐
→ 最終段階までお金の話は極力せず、製品・サービス価値を高める提案に集中する。
4. 製品・サービス価格 < お客様企業の懐
→ 初期に定価よりも高めの金額で伝える。後々値引き感を演出することができる。
5. 製品・サービス価格 << お客様企業の懐
→ 初期に定価よりも高めの金額を伝えてお金の話は軽視させる。
6. 製品・サービス価格 ? お客様企業の懐
→ この状態は営業としてあってはならない。
圧倒的に多いのが、1ないし2の状態であるにも関わらず中々お金の話をしない営業マンが多いということです。特に1の場合というのは「無い所には無い」訳ですから、ここで使う時間は無駄なコストということができます。例えば100時間分のテレビを録画できる携帯電話 が10万円だったとした場合、アナタは購入するでしょうか?
次に多いのが、3の状態の場合に初期段階でお金の話をしてしまうことです。お金の話は 始めた瞬間に、お金が中心の商談となります。せっかくお客様にお金がある状態なのですから、ここは少しでも製品・サービスの価値を高めて当然の価格であるという状態に持って行くべき です。
このご時世では、4、5の状態は中々ありませんが、4の場合にはこちらから言わせれば お客様は製品・サービスを購入できるだけのお金がある訳ですから、確実に契約いただくためにも値引きを上手く利用するために少し高めの金額を初期の段階で伝えておきましょう。5の状態の場合には、初期の段階で定価よりも高めの金額(お客様にとっては予算内の金額)を伝えてお金の話は軽視させましょう。
最初にお客様の予算・懐を確認する
上記の法則に当てはめるためにも、営業マンから製品・サービスの金額を伝えることはあってはなりません。まずは、お客様の懐具合・予算を確認しましょう。新規開拓型で営業をしている場合には初回から中々お客様の懐具合を聞くこともできないし、予算などは取っていないということになりますが、だからと言ってこちらからお金の話をして良いと いうことはありません。訪問するお客様のWEBサイト等で財務諸表などを確認して、お金の ある企業なのか否かということくらいは確認して行くようにしましょう。
提案書と見積書は必ず分ける
提案書提出の際には当然見積書も必要となりますが、基本的に見積書は提案書とは別紙で提出するようにしましょう。理由としては2点あり、1つがプレゼンテーションと同時に提案書を配る場合、多くのお客様は提案を受ける前に見積のページを見て価格で提案を判断してしまうためです。これでため息などをつかれてしまうと、プレゼンをする方も受ける方もシラけてしまいます。
もう1つは、提案書がお客様の社内で展開される場合に展開される必要のない見積金額 まで展開されてしまうためです。見積書を別紙で分けておけば、展開されるのは提案書 だけになる可能性が高まり、先方社内で金額的なことで余計な横やりが入ることもありません。
受注できるから値引きする
ソリューション営業の中でも特にシステム業界では、値引きが当たり前のように行われていますが、定価があって無いような大型のパッケージソフトウェアでもない限り、値引きを営業戦略の中軸に据えることはお勧めできません。
営業マンの姿勢としては、値引きを要求されたから値引きするのではなく、受注できるから値引きする、というものであるべきです。
このスタイルを貫くには、お客様が満足できる提案力を持つことが必須となります。 気持ちとしては買う気になっている訳で、後は値段の調整だけなのです。「後は値段 を見て決めるよ」と言われているうちはまだまだです。「買うから値引きしてよ」と 言う会話に持ち込むのです。